その日も私は家から車で20分で行ける祖父の家に来ていた。

その日は母、私と弟で来ていた。

水色の外装に、グレーと水色をテーマにされたその家が、私は密かに大好きだった。
中には小さいながらも、白を貴重にした螺旋階段もあった。

家に入るとまず、大きな壁にぶち当たる。
グレーのカーペットが敷き詰めたれた短い廊下を歩いていくと、螺旋階段と重いガラス戸に行きあたる。

ガラス戸の前に立つと、同い年ぐらいの子どもたちのはしゃぎ声が聞こえてきた。
ドアは、私が開ける前に開けられた。

じゃらんしゃらんと、ドアにかけられているベルが鳴る。

「二人とも、階段でグリコしない?」
親戚の子どもたちが3人、中から出て来た。
母は苦笑すると、

「いいわよ、行ってらっしゃい。」

そう言ってガラス戸の中に入っていった。
親戚のはるかちゃんがさきに階段の麓に行く。

5人並んだところでグリコが始まった。

「最初はグー、じゃんけんぽん!」

いきなりパーを出したら、勝てたみたいだ。

「パイナツプル」

そう言って私は6段上がった。

「最初はグー、じゃんけんぽん!あいこでしょ!」

こんどははるかちゃんのお姉さんが

チョキで勝った。

「チヨコレイト!」

「最初はグー、じゃんけんぽん!あいこでしょ!」

次はは弟がグーで勝った。

「グリコ!」

私はというと、負けっぱなしで階段の中腹で止まったままだ。

「ちょっと私お手洗い行ってくる。」

そう言って私はその場を離れた。

階段を降りて御手洗をすませたら、廊下で祖父と鉢合わせた。



「ちょうど良かった、渡したいものがあったんだ。」

私の首に祖父がペンダントをかける。

唐突なことに、私は驚いていた。

旅行先で買ったなにかだろうか?

「莉佳ちゃん、よく聞きなさい。

このペンダントはお守りだ。

肌身離さず持つんだよ。これは、私

と莉佳ちゃんだけの秘密だよ。」

困惑しながらも、私は喜んでいた。
2人だけの秘密と言われて悪い気はしない。

壁にかけられた鹿の剥製が意味深にこちらを見つめていた。