――あの淋しげだった木がたくさんの青葉で彩られる季節。


例の喫茶店には相変わらずコーヒーの良い香りが立ち込めている。



「塾講師のバイトは大変ですか? 優木せーんせっ」


「……減らず口が」


大学生になってもはじめちゃんの毒舌は変わらない。

一緒に通っていた塾でバイトをしているらしいはじめちゃんの休憩時間を見計らって約束をしたのは良いものの、はじめちゃんは相変わらず口数が少ないし、まだ大学に入学して数ヶ月かそこらだからか、そんなに積もる話も無い。


それでも漸く予定があってこうした空き時間に会えたんだから嬉しいものだ。




「うまくやってるのか」


「ん?」


口を開いたのは意外にもはじめちゃん。