――センター試験も終わり、高校生活最後の冬休みも明けた。


相変わらず凍えるように寒い冬に嫌気が差しながらも、ブレザーの中に纏ったカーディガンの袖を指先まで引っ張りだす。



あれから、はじめちゃんとはいつも通りだけど、斗真とは当り障りのない会話しかしていない。


斗真のことを好きなのに、はじめちゃんだって離したくはない。


“――二兎追うものは一兎をも得ず”

こんなんだから、どっちも手に入らないんだ。


もちろん、はじめちゃんに対する気持ちは友達としてだ。

それでも、あたしって狡いのかな……。



広げた真っ白なノート。

転がるペンを手に取り、小さく文字を綴る。


その“文字”をそっとなぞれば、枯れたと思っていた涙がまた溢れ出した。