雨の繁華街



「…やっぱ帰ろ。なんか悩んでるのも馬鹿馬鹿しいし」

独り言を呟き、来た道を戻るべく振り返る。その向こう側、反対側の歩道を特徴的な金糸の長い髪を靡かせて颯爽と歩く彼女の姿を見つける。軽く施された薄化粧に俺が貸した彼女には少し大きなパーカーとダメージジーンズ。そして凛とした横顔は何処か儚げでいて淋しそうでそして秘め事があるような、そんな切なげな瞳。目が離せないところか指一本さえ動かすことが叶わなかった。
一瞬、周りの音が、空気が止まってしまったかのように思えて息の仕方でさえ忘れてしまっていた。あまりに衝撃的過ぎたのだ。
繊細でいて今にも消えてしまいそうで、繋ぎ止める為に出来ることならばこの腕で抱きしめてしまいたい、そんな感情に支配される。