雨の繁華街


はぁと態とらしく盛大に溜息を吐く。結局のところ、解決の糸口を見つけられそうになかったからだ。このスタンスを変えることも変えさせてもらうことも出来ないならば、やるべきことはひとつしかない。

「恥を忍んで独白するしかないのか…」

「だから別に気にすることは何もないと俺は思うけどね、咲ちゃん。
さてと、そろそろ戻りますか。」

よいしょと、ギターを肩に背負い晴樹は立ち上がり会計を済ませようと歩き出す。数秒遅れて俺も同じような動作をして、後を追うような形であいつの背に向かう。
そもそもこんなことで悩む自体がおかしいんだよな、別に彼女に好かれようが引かれようが関係ない。俺は俺の目指す夢へ向かってやっているだけなんだから。

そう自分に言い聞かせても、やっぱり思い出してしまうのはあの嬉々とした笑顔と羨望と期待に満ちた瞳の彼女。….あの時も訳のわからない情念に突き動かされ彼女の手を掴んだ。今もそれに似通った感情が身体を巡り巡っている。それが何だかわからない。わからないけれど、やっぱり彼女になんて思われるのか、嫌われやしないかどうかなんて変な不安と恐怖が入り混じる。
モヤモヤとした感情で練習も身に入るわけがなく、幾つかのミスも重なり痺れを切らした透には怒鳴られ、晴樹にはニマニマされ何だか踏んだり蹴ったりな一日だった。