どうしてこんなことを聞くのか分からなかった。普通気になるものなのだろうか。
グツグツ。ぽこぽこと気泡が出ては消えていく。弱火で温め続けているから、未だに鍋は暖かいまま沸騰し続けている。蒸気で暖められた部屋に、更に盛り上げようとしているのか、下世話な笑い声が響くバラエティ番組。
「…大丈夫よ咲ちゃん。今だけだから」
小さく曇るような声でアヤさんはそれを口にする。けれどそれは笑い声に掻き消され俺の耳には届かなかった。
「へ?ごめん、聞き取れなかった。なんか言った?」
「ううん、いいの。それより咲ちゃん早く食べちゃいなよ。梨もあるよ」


