雨の繁華街


「やっぱり鍋はキムチよね。ご飯が進むわー。
そうねぇ….、実はわたし大富豪の跡取娘なの。きっと今頃血なまこになってわたしを探してるに違いないわー」

同じようにはふはふさせながら野菜を口に運び美味しそうに食べ続けている。途中で軽口を挟み、そう言って愉快そうに目を細め笑っている。そして小鉢をテーブルに置き、暑くなったのだろう金糸の髪を結うてまとめる。白いシュシュが金糸にやけに映えているように思える。
一連の動作、特にありふれた普通のものなんだけど彼女がやると、どこか気品があるような優雅な動きと目が外せなくなる。


「マジでか。こりゃ俺の身が危ないな。SPあたりが救出作戦とか言って部屋に乗り込まれるじゃん。俺、誘拐犯?」

「大丈夫よ、きっと出来る警部が謎を解き明かして何とかしてくれるわよ」