雨の繁華街


「あ、咲ちゃんおかえり。早かったね」

玄関を開けると、直ぐそばの洗面台で顔面に白いマスクを貼り付けて頬を簡単に叩いているアヤさん。
母親でさえ見たことのない姿に思わず固まってしまった。これが女子ってやつなのだろうか。

「咲ちゃん、何突っ立ってんの?ご飯出来てるよ」

怪訝そうに顔を覗き込み、口を尖らせている。やばいやばいと靴を脱ぎ部屋に進む。確かに部屋いっぱいに美味しそうな匂いが充満している。こんな事初めてだ。まあメンバーでさえ連れ込んだことないからだけれども。
テーブルには小さなカセットコンロがありグツグツと沸騰して、程よい辛味が漂ってくる鍋が用意されていた。