その日は純子のいない部活で、バットは空を切りエラー続出の散々な練習だった事は今でも鮮明な記憶だ。



帰宅してすぐに純子に電話した。


カチャ


向こうの受話器があがる。

『落合です。純子先輩いらっしゃいますか?』

『お待ちくださいね』

お母さんかな……と考えていると、

『誠?お疲れ、お帰り。』

……なんだ、元気だな……

『うん、疲れた、監督にも怒られるし。』

部活での失態を告げると、
『馬鹿だなあ。明日はしっかりね!』

逆に励まされた。

その時のその後の会話はあまり覚えていない。

他愛ない話だったような気もしたが、純子の声は私の頭を通り抜けていた気がする。



次の日、純子は左膝に包帯を巻いていたが元気な顔を見せてくれた。


その次の日も同じ様に。

だが部活は出ずに帰宅した。

そして倒れた日から三日目に純子は入院した。


検査入院だと、監督から聞いた。


私は純子の自宅に寄り道してみたが家に明かりは点いていなかった。


……まだ病院かな……


そうぼんやりと思いながら帰宅した。