『純子、一緒に帰ろう』

付き合い始めてから二ヶ月位経ったある日、私は彼女を誘った。

彼女も、最初のうちはなかなか素直になれず、呼び捨てされたり、手を繋いだりする事に慣れなかったが、月日が彼女を溺れさせて行く。


私は帰り道に彼女に

『俺は純子と同じ高校に行って純子を甲子園に連れて行くよ』

と、夢を語り彼女は

『頑張ってね。楽しみにしてる』

そう笑顔で答えた。

純子がいる部活は毎日が楽園だった。

辛いシゴキも純子の心配そうな表情で救われた。


その日、純子の唇は私の物になった。


初めてのキス以来、二人の間は更に加速し、毎日一緒に帰る。

毎週のように自転車で公園へ行って手作り弁当を食べたり、高校野球を見物に行ったり・・・。


そんな薔薇色の日々は勿論長く続かない。


私の下駄箱に入れた純子からの手紙が上級生に見られた。

上級生の中でもヒロインだった彼女に対し、好意を持つ人は多数いた。


私は野球部の先生に呼ばれ、事実関係を問われた。


親も呼び出しをされ、不純異性交遊だと警告もされた。


親父は黙っていた。

それがまた辛かった。


その時の私は不純異性交遊の意味が解らず、キスはしてはいけないんだ

と理解していた。


純子とはキス以上の関係がなかったから。