事実を受け入れられない私は純子の今後よりも自分の今後ばかりを考えていた。

理不尽で自分勝手な話だが私にはそうすること以外に現実逃避ができなかった。

3ヶ月後・・・

純子は退院してきた。

学校へは来なかったが自宅療養になった。

私は部活が終わると毎日純子の家に行き一緒に夕飯を頂き、純子が寝るまで色んな事を話した。

一切病気の話はしなかった。

進学や部活の事、先生の話、同級生の話。

毎日他愛もないことだが純子と話した。

それが私が現実から離れて純子と恋をしている事に没頭できる全てだった。

日に日に純子は青白く、膝の周りは黒っぽく変色していく。

目を背けて私は元気な自分を純子に見せていた。


夏が過ぎ3年生が部活を去っていくと私は野球部のキャプテンとして部員を引っ張っていく責を負うこととなる。


部活が終わり日が暮れて暗い夜道を走りながら私は純子の家に通った。

同級生も上級生ももう純子の存在は忘れているかのように学校生活を送っている。

あれだけ輝いていた純子も大分痩せてきて全体から覇気は感じない。

でも純子の笑顔を見たくて見たくて・・・

毎回面白い話をするためにネタになる事柄を見つけては焼きつけていた。

そう、多分私はこの頃には純子があまり長くないことを感じていたのかもしれない。

受け止められなくて辛くて・・・

だが、純子は確実に死を迎えるのだ。

私は純子と付き合ってから二度目の冬になった時だ。

純子が五回目の入院をした。

私はもうこれが最後の入院かもしれない事を薄々感じていた。

木枯らしが吹きすさぶ校庭で佇みながら・・・。