「うっ、ひっく‥‥っ!!」

私は、ベッドの端の床に座って、声を押し殺して泣いていた。

その時、私の部屋の扉がガチャリと開いたと思ったら、渚の声がした。

「ちーちゃん、こんな『暗がり』で何やってるのさ?」

渚は、びっくりした様子で尋ねてきた。

私は『泣き声』で、

「何でもないよ!!渚には関係ないでしょう!?放っておいてよ!!」

そう怒鳴った。

これじゃ、渚に八つ当たりしてるようなものだ。

でも、私は、この『失恋』した『心のやり場』を、どうしていいのか分からなかった。

すると、渚は、私のほうへ来ると、いきなり抱きしめてきた。

えっ!?

なっ、何!?

私、今、渚に抱きしめられてるの?

驚きのあまり、声が出ない。

「ちーちゃん、泣かないで。」

そう言って、私の背中をポンポンッと優しく叩いた。

ドキンッ!!

えっ!?

なっ、何!?

私、渚にドキドキしてる!?

妙に戸惑っている私に、渚は、さらにギュッと抱きしめてきた。

ドキンッ!!ドキンッ!!ドキンッ!!ドキンッ!!

お互いの鼓動が聞こえる。

いつもとは違う、渚の意外な一面を知った私は、ときめいていた。

その日から、私は、渚を『男の子』として、『意識』するようになる。