✳︎山口先輩✳︎「さて、みんなそろそろ書けたか?紙集めるぞー!」
✳︎一同✳︎「はーい!」
役者の配役決め以外はスムーズに終え、私は衣装と広報と小道具担当に、蓮司くんはメイクと広報と、あとはオーディションの結果を待つのみだ。
オーディションには珍しく、顧問の田村先生も見えた。
キャラクターがどれをとっても素敵なものばかりだったのもあり、一つの役に数人がオーディションを受けていた。
中でも一番多いのは、やはり花形の姫、王子、悪役…。
まだ役名が決まっていないので、オーディションを受かった人が自分の役に命名できるみたいだ。
結果は全員の投票で決まるらしいが、なんだか私まで緊張してきた…!
端役、脇役と演技が始まり、配役の投票用紙にそれぞれ適任だと思う人へ丸を打っていく。
いよいよ次は王子だ。そしてその次は…姫!!
やはり大役ということもあり、王子役志望の部員は誰も自信のある演技だった。
少し意外だったのは、みちか先輩が受けると知っていながら、山口先輩も受けていたことだ。
山口先輩は舞台監督がすでに決まっていたけど、他の役も複数受けていたし、どれも素晴らしい演技だった。
適当な人と思うこともあるけど部長としても役者としても、すごい人なんだなと実感した。
山口先輩の演技は少しセリフにアレンジもあって、台本では硬派な印象を受ける王子だったのに、あっという間にかっこよくて少しギャンブラー気質な王子へと早変わりだ。
✳︎みちか✳︎「山口がやるのは聞いてないって!えーどうしよう!」
そんなふうに落ち込んでいたが、やっぱり1番素晴らしい演技をしたのは、みちか先輩だった。
山口先輩とは違い、セリフは忠実だが、それまで聞いていたセリフとは思えないハンサムな演技と、儚げでカリスマ性ある、しかし、人間味溢れる美しい王子は、まさに圧巻の演技だ。
今まで周りの緊張もあって静まり返っていた部室も、思わず拍手がちらついた。
✳︎山口先輩✳︎「うーん、やっぱりみちかには叶わねーな」
山口先輩も鼻を鳴らしながら嬉しそうにそういった。
一方姫役の蓮司くんといえば…



