私には、あの言い方は斑鳩先生たちと同じようなニュアンスなのがよく分かった。
しかしそんな事、スミレは知ったことではない。
✳︎スミレ✳︎「そう、だよね、お姉ちゃん、とっても素敵だもん、相手が女だろうと、男だろうと、好きになるのは、当たり前…」
悲しそうなスミレの顔を見ていられない。
私はすかさずスミレに抱きついた。
✳︎歌凛✳︎「スミレ、大丈夫、大丈夫だから!私が好きとかの話は蓮司くんの冗談よ!!」
✳︎蓮司✳︎「ちょ、スミレちゃんごめん!!ほんとに冗談だから!あたし、好きな人ちゃんといるし!」
そう言って、蓮司くんは勝手に好きな人の名前を呼んで数えていた。
「師龍先生とか、政宗さんとか、あ、あの有名俳優の中本さんとか、それからそれから…」と言い続ける。
真っ先に聖司くんの名前が出ないあたり、本当に恥ずかしいのだろうか…
いや、そんなことよりも、スミレが信じていないことが何よりも一大事だった。
✳︎スミレ✳︎「蓮司お兄ちゃ…蓮司お姉ちゃんのほうが、いいのかな…」
スミレが少し声を震わせながら聞く。
✳︎蓮司✳︎「え?あ、いいよ、お兄ちゃんで。あたしだって他の人の前では男として振舞ってるし、特に嫌ってないからね!」
✳︎スミレ✳︎「じゃあ、蓮司お兄ちゃん…蓮司お兄ちゃんは、たくさんの人のことが、好きなんですね。
蓮司お兄ちゃんは、お姉ちゃんのこと、好きなの?」
蓮司くんは、少し考え込む。
蓮司くんの性格からして、友達として好きだと言うのを伝えたいのに、伝え方が分からず返答に困っているのだろう。
✳︎蓮司✳︎「あたしは、歌凛のこと、スミレちゃんが歌凛のことをすきなのと、同じように好きだよ。親友だからね!」
さすが蓮司くん!これならスミレも分かってくれるはず…!
✳︎スミレ✳︎「そうなんですね…」
納得した様子のスミレだが、どこか悲しそうだ。
✳︎スミレ✳︎「で、でも、お姉ちゃんのこと好きなのは、スミレが1番…ですからね!?」
スミレ…………!!!



