と、お母さんがお風呂へ入ろうとする声が聞こえた。
二階堂さんに一緒に入らないかと打診している。
二階堂さんは何やら困りながらもキャッキャウフフと先に入っていてよ、と話していた。
一緒に温泉旅行いくんじゃないんだから…
✳︎蓮司✳︎「あ、ごめん、ちょっと、別の部屋行こっか」
✳︎歌凛✳︎「じゃあ、私の部屋行きますか?製作途中の服も見せたいですし、スミレは私の部屋で寝るんだし」
✳︎蓮司✳︎「オッケーオッケー、の前に、スミレちゃんは歯磨き」
蓮司くんの一声で、全員で歯磨きをしてから、私の部屋に向かった。
蓮司くんは、笑っていたけれど、自分から話すのはあまり好きでないはずなのに…
妹に弁解できなかった自分が情けない。
部屋に着くなり、蓮司くんはスミレを私のベッドに乗せ、私に1度確認して、椅子に座った。
✳︎蓮司✳︎「スミレちゃんは、性同一性障害って知ってるかな?」
✳︎スミレ✳︎「ううん、知らない…です」
✳︎蓮司✳︎「ちょっと難しいか。実はね、あたし、言ってしまえば、男の人が好きなの。所謂、オカマってやつかしらね」
✳︎スミレ✳︎「トランスジェンダーってこと?」
スミレはそう聞いた。
まさかスミレがその言葉を知っていたとは…我ながら驚きだ。
✳︎蓮司✳︎「うーん、はっきり言って、あたし、よく分からないの。診断を貰ったわけではないし、心が女性と思うことはあるけど、かっこいいものも好きだしね」
✳︎スミレ✳︎「スミレ、海外で、そのお話聞いたの。授業でやった」
なるほど。私と蓮司くんは同じような顔をし納得した。
スミレは本当に物分りがいい子だ。我ながら、良い妹を持った。
これで収まったのだろうか、そう思いきや、蓮司くんは一言、余計なことを発言。
✳︎蓮司✳︎「まあ、歌凛ぐらい可愛いと別なんだけどね〜」
✳︎スミレ✳︎「…え?」



