✳︎歌凛✳︎「あ、蓮司くん、上がったんですね!」
✳︎蓮司✳︎「2人で牛乳?仲良いなー俺もほしい!」
蓮司くんはそう言って、ニコニコと牛乳パックを冷蔵庫から取り出した。
✳︎蓮司✳︎「スミレちゃん、さっきお風呂から上がった時に、会話きこえたんだけど、お姉ちゃん取られて少し寂しいのかな?」
スミレは、少し口をモゴモゴさせた。
✳︎歌凛✳︎「え、そうなの?スミレ」
私が問いかけると、スミレはゆっくり頷く。
✳︎蓮司✳︎「スミレちゃん、大丈夫、俺と歌凛は、スミレちゃんが思っているような関係じゃないよ」
✳︎スミレ✳︎「だけど、恥ずかしがり屋のお姉ちゃんが、お兄ちゃんと仲良くしてて、それで、裸みられても、あんまり表情変わってないみたいだし…それに、お母さんが…」
スミレがそう言いかけた。
私は直感で感じる。お母さんが余計なことをスミレに吹き込んだんじゃないかと。
ホントにあの母親は、過保護というか過干渉というか…
まあ、冷静に考えれば高校生の娘が男性ふたりと暮らしていると不安になるのかもしれない…けど
✳︎歌凛✳︎「お姉ちゃんと蓮司くんは、そういうのじゃないのよ。ただのお友…」
✳︎蓮司✳︎「大親友なだけだからね!」
私と蓮司くんが必死で説得したが、しかしスミレはまだ信用出来ないようだった。
私があまりびっくりしなかった理由は、他でもない、蓮司くんの心が女性であるからだ。
本当のことを言うと、私も見られた事は恥ずかしいし、蓮司くんのことを完全に女性として見ることが出来たかと言われれば、嘘のような気がする。
そもそも、女性、男性という括りで蓮司くんを見ているわけではなく、蓮司くんという一人の人間として見ているから余計に説明しにくいのだけれど。
✳︎蓮司✳︎「あのね、スミレちゃん、実は俺…」
蓮司くんは、何やら考え込むような表情をして、そう言いかける。



