*歌凛*「あっ、電子レンジ!」




ゆっくりと階段を降りていた時、不意に電子レンジの中へ入れておいたポテトを思い出した。




フライドポテトを作ろうと思っていたのに…




私は階段を駆け下り、キッチンへ走った。




キッチンの方から談笑が聞こえる。




蓮司くんと二階堂さんの声だ。




*二階堂*「なーんだ、そういうことだったのね」




二階堂さんに声を聞いて、わたしはまた思い出した。




自分の手に、二階堂さんの高級そうなバッグが掛かっていることを。




すぐに二階堂さんの部屋へバッグを戻し、またキッチンへ走った。




なんだか今日はバタバタと慌ただしい1日だと私は思った。




*歌凛*「はあ、はあ、はあ、二階堂さん、お久しぶりです…バッグ、二階堂さんの部屋へ置いてきました」




*二階堂*「ありがとう。じゃあ、私は美和子に挨拶してくるわ」




美和子…お母さんの名前だ。




二階堂さんとお母さんの関係性はよくわからないままだけど、私はさして気にしないことにした。




*歌凛*「二階の左側の部屋にいます。妹も一緒です」




私はそういいながら解凍されたポテトを取りだし、用意してあった鍋の中へポテトを入れた。




一から作らなくていい冷凍フライドポテトは楽で本当に助かる!




*蓮司*「あーさっきは本当に笑っちゃったよ」




二階堂さんが二階へ行ったのを確認してから、蓮司くんは笑ってそういった。




そんなこといったって、私は二階堂さんが来る可能性なんて微塵も考えていなかったのに。




私は「もう」と言いながら仏頂面で料理をお皿にのせた。




時間的にも夕飯には丁度いい。




全ての準備が出来ると、私と蓮司くんはスミレたちと二階堂さんを呼びにいった。