ペットボトル十本に、使い終わった商品の袋と箱。




この間よりもものすごい早さで悪化している。




鞄も床へ無造作に置きっぱなしで、教科書やノートやらシャーペンやらはでたらめに机に転がっている。




その辺りはどこにしまえばいいかわからないので、適当に並べておいたが、ふと見た棚の裏に漫画が一冊埃を被っているのを見たときは絶望した。




*蓮司*「その漫画、ここにあったんだ!」




すかさず蓮司くんは漫画をとろうと手を隙間に突っ込ませるが、取れる位置までは届かなかったようで、結局私が自分の手を入れなければいけなくなった。




幸い、そこまで奥ではなかったのと、その漫画が綺麗に見える位置だったのもあり、簡単にとはいかないもののすぐにとれた。




蓮司くんの部屋を綺麗に見せることに___引き出しの中までは綺麗にしていられず、小物などは詰め込むだけにした__四苦八苦し、この部屋を掃除することに恐らく一番時間をかけた。




*蓮司*「…なんか、ごめんね」




部屋の片付けをとりあえずは終えたとき、隣でごみ袋を結びながら蓮司くんはそっと言った。




*歌凛*「もう、次からは整理整頓をしっかりしてくださいよ!」




ちょっとした談笑として、私は笑いながらそう返す。




しかし、彼は掃除の事をいっていたわけではなかったみたいだ。




蓮司くんは、少し考えるそぶりを見せてから、慎重に言葉を選ぶように口を開いた。




*蓮司*「謝ったのは、聖司のこと。
昨日、感じ悪かったでしょ?
盗み聞きしてたうえに責めるようなこと言って、逃げて…
あ、掃除は約束できないけど」




*歌凛*「むしろそっちは気にしてないんで掃除の方をなんとかしてください!!」




私はそう答えた一方、なんだ、そんなことかと安堵していた。




そんなこと気にしなくていいのに。それこそ掃除の方を気にすればいいのに。




*蓮司✳︎「ごめんって」




手を合わせて謝るそぶりを見せた蓮司くんだが、頰は思いっきり緩んでいて、反省など微塵もしていないようだった。




その反応には少々頭にくるものの、いつもの蓮司くんに戻ったみたいで、私は嬉しくなる。




蓮司くんの態度に怒りながら、私は同じように頰を緩め、2人で黙々と掃除を続けていった。