私は1度頭を空にするため、ため息をついてからキッチンに向かった。
スミレたちのことも考えないといけないけど、その前に私たちの朝食だ。
鼻唄まじりに昨日炊いておいたご飯を電子レンジで温め、目玉焼きを3つ焼いて煮物を小皿へ移す。
いたって普通の朝ごはんを作っている今でも、私には豪華でとっておきのフレンチ料理を作っているように感じる。
*蓮司*「あ、もうほとんどできてるね。手伝えなくてごめん」
キッチンへ入ってきた蓮司くんは、申し訳なさそうにそう言った。
*歌凛*「いえいえ」
そう、返してから私はテーブルへお皿を置きにいこうとすると、蓮司くんはそれにきづいて私の持っていたお皿を受け取り、代わりに持っていってくれた。
その間、私は聖司くんのお昼のお弁当を、必要かどうかはわからなくても作った。
仮に必要なかったとしても、それなら私がお昼に食べればいいと思ったのだ。
お弁当箱におかずを詰め終えて、私たち二人は席についた。
が、不思議なことに、いつも朝一番の聖司くんがなかなか来なかった。
荷物等の準備は昨日済ませたようだった。
私はなぜだろうと酷く疑問に思ったし、それは蓮司くんも同じなようだった。
*蓮司*「一回呼んでこようかな。心配だし」
蓮司くんが立ち上がってそう言った時だった。
聖司くんがゆっくりとどこかおぼつかない足取りでやって来たのだ。
*聖司*「お待たせして申し訳ありません」
私はいつも通りな対応をする聖司くんを見てホッとした。
そして、それと同時に心配もした。



