*蓮司*「あーきちゃったか」
蓮司くんはすかさず電話のおいてある方へ走っていき、受話器をとった。
*蓮司*「もしもし。
あ、やっぱマダム・チェリー?」
二階堂さんか。
蓮司くんは何度もうなずきながら返事をしていた。
心なしか焦っている気がする。
*蓮司*「はい、はい、はーい。
わかってるって。んじゃねー」
ガチャッと受話器を置いた瞬間、蓮司くんは急変した。
*蓮司*「ヤバイヤバイヤバイ!!
やっぱりマダム・チェリー帰ってくんじゃん!掃除しないとヤバイ…
歌凛もできる部屋全部掃除しといて!」
*歌凛*「……え?」
二階堂さんは初日にあった限り、べつにものすごいきれい好きって訳ではなかった気がする。
*蓮司*「あの人、自分が掃除できないししたくないからってものが散らかってんの見るとまあー怒る怒る」
……え、そうなの?
いや、蓮司くんの部屋単体なら怒るのもわからなくはない。
でも、できる部屋全部とは…。
*蓮司*「あと自分の所有物だから汚されるの嫌らしいし、それが一番じゃない?
とりあえず、それぞれの部屋お願いね!」
*歌凛*「あ、はい」
私はとりあえず返事をして、今日の献立の組み立てをし直した。
二階堂さんがいつ帰ってきて、いつまた出かけるのかわからないけど、少なくとも朝昼晩のどれかは5人分になる。
食器足りるかな…。いっそのこと大きいお皿を使ってご飯作ろうか。手巻き寿司とか。
いやいや、まだまだ先のことか…。スミレが来るということにとても緊張する。



