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次の日、GWがついに始まった。
今日は、いつもよりずっと元気に目覚め、廊下をいつもよりずっと元気に歩いていた。
スミレに会える!その事だけが私の胸を掻き立てた。
こんなに幸せなこともない!
私は思わず恍惚の笑みとため息をついてしまった。
*蓮司*「…おはよう~」
眠そうな顔と声で蓮司くんが自室のドアを開けた。
*蓮司*「わ、歌凛どうしたのよ!
まるでマタタビもらった猫みたいな顔して」
*歌凛*「え…、そ、そんな顔してません!!」
スミレを猫用の麻薬と一緒にされては困る。
*蓮司*「してたしてた!」
*歌凛*「もう。
というか、蓮司くん今日早いですね」
部活のない休みの日に、蓮司くんが早起きするなんて珍しい。
私は物珍しげに、眠そうにはしていても、寝癖ひとつない蓮司くんを見つめた。
*蓮司*「あったしまえよ!
今日は聖司の送り迎えして、スミレちゃんたちがこれるように準備しなきゃいけないんだから!」
*歌凛*「いえそんな、スミレ達の事で気を使わなくても、いつも通りで大丈夫ですよ」
*蓮司*「いや、それももちろんだけど、それだけじゃあないんだよね…」
え、それだけって…?
私がごくりと唾を飲み込んだそのときだった。
恐らく、恐らくこれが蓮司くんの「それだけじゃないこと」なのだろうと、私は思った。
家の電話が鳴ったのだ。



