*歌凛*「ええ、本当よ。
だから、楽しみにしていてね」
*スミレ*「うん!!
あ、もう少しお姉ちゃんと話していたいけど…お母さんがもう出発っていうから……」
スミレが申し訳なさそうにそう言った。
*歌凛*「そっか。いいのいいの!
明日会えるんだから」
私がスミレに優しく「じゃあね」と言うと、スミレも優しく「じゃあね」と返した。
それを聞いて嬉しくなって、私は笑いながら「うん」と頷き、携帯を切る。
私は安堵のため息をもらした。
しばらくスミレの声を聞いてなかったからか、ひどく安心したのだろう。
それから、蓮司くんたちのいる方へもどって携帯をふってみせた。
*歌凛*「スミレからでした。
今からこっちに向かうってことで、連絡してきたみたいです」
私はにっこり笑いながら携帯をポケットに入れ、元いた席に座り直した。
すると、蓮司くんがにやにやしながら肩を組んできた。
*蓮司*「歌凛おねーちゃんは妹と電話するときだけにやにやしているみたいだねぇ?」
私の顔真似のつもりだろうか。
携帯を持つふりをして、蓮司くんはさっきよりもずっと口角をあげて、(下心ありありな笑顔で)私が話していたことをそっくりそのまま話した。
*蓮司*「もしもしスミレ?
元気だよ。スミレの声聞けてもっと元気になっちゃった」
私は恥ずかしい思いをしながら手をふって蓮司くんを喋らせないよう努力した。
しかし、演劇部だけあって声は大きいし、裏声ではあるけれど、完全に私の特徴をつかんだ演技でなので、そこにいる私を知った人ならすぐにわかってしまうだろう。



