*聖司*「ええ、毎週一度か二度かは私の部屋まで侵入してきます…
本当に災難でしたね。歌凛さん。」
聖司くんにまで…ということは、さっき「頼みづらい」っていっていたのは既に頼んでいたからなのだろうか。
そう考えている中、私は聖司くんに部屋へ入れてもらった。
サイズを聞ければそれでよかったので、長居するつもりはなかったのだけど…
何か蓮司くんに関して気を付けた方がいいことを聞けるかもしれないのでなにも言わず入った。
*聖司*「あまり片付いていなくてすみません。」
そう言われたけど、私の部屋より片づいているし、なにより蓮司くんの部屋を見たあとだと、どんな部屋もきれいに見えるだろう。
*聖司*「ああ、それと、個人的にはかわいいと思いますよ?歌凛さんのそのメイク姿も。」
「え…?」と、思わず変な声が出てしまった。
あまりにも聖司くんが唐突に真顔で言ってくるものだから、ビックリした。
*歌凛*「そ、そうですか?」
*聖司*「ええ。」
聖司くんは、やっぱり真顔で返してくる。
それがなぜかおかしく思え、恥ずかしいと思う前に自然に笑っていた。
*歌凛*「…フフ、なんか、聖司くんらしくないですね。でも、嬉しいです、ありがとうございます。」
*聖司*「私らしくない、ですか。
まあ、そうかもしれませんね。」
聖司くんがそういったあと、私は急に恥ずかしくなった。
今になって自分が“かわいい”と言われたことを実感し出したのだ。
適当に視線をそらして、羞恥心が収まるのを待った。



