*歌凛*「もしかして、聖司くんに定期的に掃除してもらったりしてませんよね?」
私は口紅を塗られる前に早口でそういった。
学校では机もロッカーも綺麗で、冷蔵庫の中身も気がつけば整理整頓をしているような聖司くんが、蓮司くんのこの部屋をみて放っておくわけ無い。
絶対聖司くんが介入してるはずだ。
*蓮司*「あぁ、エスパー増えちゃった。
二人も要らないわよ。
っと、マスカラするから目つむって。」
メイクをされる工程を鏡でみていると、まるで魔法を早送りでみさせられているような気がする。
私は言われた通り目を瞑り、蓮司くんの返答を待った。
瞼へ慎重にマスカラが塗られていく。
今、私はどんな顔をしているのだろうか。
当然ながら、写真を使わず目をつむった自分の姿をみるなんて無理なのだが、物凄く気になる。
何となくだけど、寝顔を見られているような感じがした。
要するに、恥ずかしい。
*蓮司*「そういえば、あたしの服のサイズだっけ。聞きにきたの。」
*歌凛*「え?あ、はい。
たまには男性服を作ろうと思ったので、どうせならすぐに渡せる蓮司くんと聖司くんに作ろうかなぁと。」
さっき色々考えていたせいで声が裏返った。
さらにそのせいで顔が熱くなる。(恐らく顔は真っ赤だ)
*蓮司*「へぇー、私のサイズはLLだよ。
どうせならさ、聖司とお揃いにしてほしいなぁー。聖司には内緒で。
あ、いいよもう目開けて。」
LLか…蓮司くんは背高いから納得だ。
私はサイズを聞けたことにちょっと安心した。
蓮司くんが早めに思い出してくれて助かった。あのまま蓮司くんが思い出さなかったら私も忘れていたかもしれない。
私はゆっくりと目を開けた。



