*歌凛*「ちょ、ちょっと待ってください!
私メイクなんてしなくていいです!
蓮司くんの服のサイズ教えてもらいに着ただけですから。」
*蓮司*「えー、そんなこといったって…
聖司に頼むわけにはいかないし、自分にするのもいいけどイメージわきにくいし、
歌凛くらいしかいないの!お願い!!」
いやそんな謎理論で説得されるわけない!
確かに蓮司くんのメイクは上手だからなんの心配もしていないけど。
*歌凛*「ええ…」
*蓮司*「10分しかかからないから。」
いってる間にファンデーション塗ってるし…
そういえば、蓮司くんの部屋ってあんまりじっくり見たことがない。
(じっくり見るもんでもないけど。)
暇なので鏡のなかを覗きこみながら部屋をよく見てみた。
二階堂さんやお客さんに、オカマということがばれないようにするためか、当たり障りのない部屋だ。
男の子の部屋にも女の子の部屋にも思えた。
ただ、よく見ると色々と凝った作りの家具が多い。
目の前の鏡台も結構かっこいい作りをしていてシンプルだ。
机の上は写真や置物が乗っている。
物がいいものは多いというのに…
*歌凛*「蓮司くん、少しは部屋片付けましょうよ…」
ビックリするほど悲惨だ。
ぬいぐるみが散乱していて、くしゃくしゃの紙が所々落ちている。
引き出しは開きっぱなしで物が飛び出ているし、カーテンも不自然に隙間ができていた。
メイク道具はきっちり揃えてあるので、その整理整頓能力を部屋に活かさないのは勿体ない気がしてならない。
*蓮司*「もう、聖司みたいなこと言わないでよ!あたし掃除ははじめさえすれば早いんだから!」
蓮司くんは得意気に言った。
けど、そう言って最後まで部屋を汚し続け、最終的にお母さんに泣きついたのが私の父だ。
うん、一語一句全く同じ理論で全く同じしぐさをして。



