「それだけよ」

「なら、歌うことに意味はあるのかい?」

「さあ。あるかもしれないし、ないかもしれないわ」

でも、と少女は続けた。

「この歌が宇宙まで届くかもしれない。それを聞いた外の人々が、地球を懐かしんで帰ってきてくれるかもしれないから」

ひゅるる、という音が二人の言葉を遮った。少女の視線がプラスチックロケットを追う。



「プラスチックロケットだ…」


プラスチックロケットは空へ昇ったものの、どこにも辿りつけず地上へと降ってきた。

あれは、地球に残された人々が、外へ行った人々に宛てたメッセージなのである。

もし届いたら自分たちを思い出して欲しいという。