空は晴れているのに、チラチラと雪が降ってる。


きっと、山の方から風に飛ばされて来たんだね。


1月半ばの街中は、たくさんの人で賑わっていた。


今日は碧依(アオイ)さんとデートの日なんだ。


なんでも仲のいい友達を紹介してくれるんだって。


付き合って半年経つのに、その人には一度も会ったことがない。


隣で運転する碧依さんをチラッと見た。


緊張してないって言えば嘘になっちゃう。


でもね、碧依さんが隣にいてくれるって思うと、すごく安心するの。


碧依さんは私の視線に気付いたのか、大きな手を私の頭にポンッと乗せて、優しく微笑んだ。


もう…その表情が好きなんだから!


碧依さんのちょっとした仕草がいちいち私をドキドキさせる。


大人な碧依さんから見たら私は子供過ぎるよね。


それでもね、私を彼女にしてくれたことが…今でも彼女でいさせてくれることが嬉しいんだ。


しばらく車に揺られて、目的地を目の前にした瞬間、私の緊張が一気に高まる。


だって着いた場所が高級ホテルなんだもん!


この街にあるホテルで私が知ってる中では一番高いホテル。