〔B L〕朽ちた無花果


まさか…

「俺は…「待って!!」

佐那斗君が勇気を出すなら、僕も出さなきゃいけない。
僕にはまだその覚悟がない。

でも、せっかく話そうとしてくれるんだから…

「…っごめん、なんでもないよ。」

「…そう。
それで、続きだけど。

俺は…その、人の心とか仕草とか、そういうのに敏感なんだ。

なんでかっていうと、それは…

その、俺が、そういうのを気にしてるからで…」

言葉を詰まらせる佐那斗君に、なんだか僕は少し、安心してしまった。

「無理して話さなくていいよ。
今日は最初から頑張ったね。

じゃあ、僕もなにか話さなきゃいけないなぁ。」

僕が話せること…。

「…アンタの親ってどんな人?」

それは…随分ハードな質問だね。
佐那斗君はときどき、僕の心を見透かしてるんじゃないかって思うときがある。

「僕が7歳の時に、お父さんが死んだ。
お父さんは検察で働いていてね、その時に恨みを買って、ヤクザに殺されたんじゃないかって。
だから、それからずっと僕は母子家庭で育った。」

大丈夫、嘘は言ってない。
だから、佐那斗君は気付かない。
僕の心は見透かされてない。