(24時間か……長いな……)



ーー昨日の昼間、大いに泣くあたしをおばあちゃんはずっと慰めていてくれた。
優しい掌で、何度も何度も背中をさすってくれながら、まるで励ますように子守唄を歌ってくれた。


お年寄りに接する仕事をしながら人に癒されている感覚は、あたしには無かった。
いつも誰かに迫られる様な思いが拭いきれなくて、日々疲れてばかりいた。


……でも、おばあちゃんはそんなあたしの心を救ってくれた。
ホントの親族みたいに最初から接してくれて、本来持ってるのであろう優しさを十分に発揮してくれた。


ーーいろいろと出来なくて困る素振りが伺えた。
特に排泄面での混乱ぶりは施設の高齢者と同じだった。

適切な対応が出来なければ自尊心を失う。
喪失感が高ければ高いほど、きっと混乱も酷くなる。



ーーこの人と出会ったことは、運命なんだろうか…と考えた。
逃げ出したあたしに対する、罰なんだろうか…という気がしてきたーーー。




「行った方がいいのかな…」


食事をする手を止めて、久城さんが呟いた。

おばあちゃんは食事を終え、食後のお茶を飲まれている。
あたしはその姿を確認しながら、彼の方へ目線を向けた。

あたしの方に振り向いた彼は真剣な表情で聞いてきた。


「愛理さんが言うように、ばあちゃんが認知症だとしたら、病院へ行った方がいいのかな…?」


戸惑う様な顔をしている。