明くる朝目を覚ますと、彼女の姿は既に隣にはなかった。
またしてもダメだったか…とベッドを起き出し、リビングの方へと探しに行く。
祖母を連れ帰ってきたことも忘れ、リビングにいた彼女に向かって声をかけた。
「おはよう、愛理さ……」
かけてる途中で茫然と目を見張ったのは、食事をする祖母の姿だった。
箸を使ってはいるが、まるでご飯もおかずも掴めていない。
ボロボロと胸元や床に落として、食べると言うよりもこぼす量の方が多い気がする。
「おばあちゃん…」
隣にいる彼女が、優しく丸い声で話しかけた。
「服が汚れるからタオル置かせて下さい。折角きれいな刺繍が付いてるスカートだから勿体ないので」
祖母に近づき、そ…とタオルを膝に置く。
ちらっと見えた横顔が笑顔だった。
昨日は驚いた顔とビクついた顔、それから安らか過ぎる寝顔しか見てなかったからほっとした。
彼女は祖母が食べている横で自分も一緒に食事をしていた。
時々箸を止めては、じーっと祖母を眺めている。
その瞳は真剣で、何処か潤んでいるようにも見えた。
「………おはよう…」
もう一度気を取り直して声をかけた。
彼女は驚いて振り向き、直ぐに立ち上がってこっちへ来た。
「…おはようございます…久城さ……」
言いかけて止まり、「え…と、あの…」と言い淀んだ。
「た、剛さん…」
自信無さそうに言い直す。
またしてもダメだったか…とベッドを起き出し、リビングの方へと探しに行く。
祖母を連れ帰ってきたことも忘れ、リビングにいた彼女に向かって声をかけた。
「おはよう、愛理さ……」
かけてる途中で茫然と目を見張ったのは、食事をする祖母の姿だった。
箸を使ってはいるが、まるでご飯もおかずも掴めていない。
ボロボロと胸元や床に落として、食べると言うよりもこぼす量の方が多い気がする。
「おばあちゃん…」
隣にいる彼女が、優しく丸い声で話しかけた。
「服が汚れるからタオル置かせて下さい。折角きれいな刺繍が付いてるスカートだから勿体ないので」
祖母に近づき、そ…とタオルを膝に置く。
ちらっと見えた横顔が笑顔だった。
昨日は驚いた顔とビクついた顔、それから安らか過ぎる寝顔しか見てなかったからほっとした。
彼女は祖母が食べている横で自分も一緒に食事をしていた。
時々箸を止めては、じーっと祖母を眺めている。
その瞳は真剣で、何処か潤んでいるようにも見えた。
「………おはよう…」
もう一度気を取り直して声をかけた。
彼女は驚いて振り向き、直ぐに立ち上がってこっちへ来た。
「…おはようございます…久城さ……」
言いかけて止まり、「え…と、あの…」と言い淀んだ。
「た、剛さん…」
自信無さそうに言い直す。

