散々、女にフラれてきた俺を知ってるせいか、彼女を試せと平気で言う。
そんな事をしたくもない俺は、「冗談じゃないっ!」と突っ撥ねた。


「そんなことできるか!やっと手に入れた嫁なのにっ!」


見合いまでしたんだから…と言うと、結華はケラケラと笑い飛ばした。


「久城の四男がお見合い⁉︎ …呆れた。そうまでしないと嫁も見つけられないの⁉︎ 」


自分も婿を貰ってないのにそれを言う。
腹を抱えて笑う結華に、「それ程忙しいんだっ!」と弁解した。


「それで?どんな女なのよ。今度は」


「真面目で面白そうな人だよ。ちょっと変わったところもあるみたいだけど、気が合うと思う」


まだ片手で余るくらいの回数しか会ってない。
ほぼ直感に賭けたと言っても過言ではない状況だった。


「…ふぅん。剛と気が合う女性なんかいるんだ。めっずらしー!」


人を変わり者みたいに言うが、はっきり言ってこいつ等程じゃない。


兄姉たちは皆どこかが欠けてる。金持ちの家で苦労もせずに育ったせいか、世間知らずな奴等ばかりが揃ってるんだ。


「とにかくそんな訳だから困る。他当たってくれよ。じゃあな!」


「…あっ!ちょっと!そんな態度取っていいの⁉︎ …さっきも言ったでしょ⁉︎ 順番だって!兄さん達から順に回ってきてるの!だから、今度は何が何でも剛の番!でないとおばあちゃん、無理矢理あんたん家に送り込んでやるからっ!!」