(…いつ帰ってきたんだろう…。起こしてくれれば良かったのに…)


寂しくて落ち込んだまま眠った自分を悟られてないかが心配になった。泣き続けて終わった初夜は、あっという間に2日目を迎えた。


今朝からはずっと、この人と暮らす。

…一体、どんな1日になるだろう…。




先に起きて朝ご飯の支度でもしておこう…と思い立って動いたら、向かい側に寝てる人の眉が微かにピクついた。

起こしてしまったか…と、ドキドキしながら見ていると、薄っすら…と瞳が開きかけた。


…いつもは筋の薄い二重瞼が、スッキリと綺麗な弧を描いていく。

ホントは彫りの深そうな目が大きく開いて、じぃーーっとあたしの顔を見ていた。




「誰……?」


寝ぼけたように聞かれ、どうしようかと迷った。


「えっと、あの…」と声を漏らすと、彼は飛び上がってあたしに抱きついてきた。



「愛理っ!」


ぎゅっと抱きしめられて息もできない。
思いもつかない行動に、自分自身が面食らった。


「は、はいっ!」


驚いて声を返すと、ぐいっと体を引き離された。

パジャマも何も着ていない彼の裸に気づいて、(えっ⁉︎ )…と目を疑った。



ーー辛うじてパンツだけは穿いててホッとした。

でも、緩んだお腹のお肉が柔らかそうで、どうしてもハグしたくて堪らなくなった。




「ごめんなさいっ!」


先に謝って抱きついた。
ふわっとする胸板とお腹の感触に、ゆるゆると気持ちが溶けていく。