『ゆる彼』とワケあり結婚、始まりました。

何それ…と言いたくなるのを我慢して耳を傾けた。
久城さんは笑い続けながら、叔母の言葉を真似した。


「…自分に正直と言いますか、周りを気にしない…と言うか。下手するとお見合いの席で、いきなりチューもあり得そうな娘なんです…って」


さすがにそれは無かったけどね…って、当たり前だっつーの!


「あ…飽きれる……叔母さん、そんなこと言ったんですか⁉︎ 」


そりゃね、確かに暴走することはあるよ。
でもね、それって感情が大きく揺れ動いた時だけだし。


「僕ね…って言うか、堅苦しから俺でいい?…俺ね、その話聞いて、君に会うのが楽しみで仕方なかったんだ。いきなりキスされたら返すべきかどうするべきか、散々迷いながらこの部屋の襖開けた。そしたら君がいきなり胸に飛び込んできて、ぎゅーだろ?これはもう、返すしかないなぁ…と思って…」


こっちも悪かった、すみません…と謝まる『ゆる彼』に、「いえ、とんでも無い、こっちの方が…」と言い返してハッとした。


「あ…あの……今の話からして、もしかしてあたしのこと、引いていません…って意味に取っていいですか?」


大抵の男性なら最初ので完全にアウトな筈。
だけどこの人は、さっきの状況をまるで楽しんでるみたいに聞こえた。

これがホントなら正しくチャンス到来!
何が何でもゲットして、必ず結婚するっ!



「いいですよ。全然引くどころか歓迎します。何ならもう一回、ギューしますか?」


「えっ!いいんですか⁉︎ 」