『ゆる彼』とワケあり結婚、始まりました。

孫達の間をたらい回しにされて、邪魔者のような扱いを受けてるようにも思えた。
親代りとなって懸命に子育てをしてきた筈なのに、誰にも報われずにいるおばあちゃん。



……もしかしたら施設で見てきたお年寄り達よりも孤独かもしれない。


その彼女を置き去りにしたまま、去っていく自分。



……想う気持ちよりもプレッシャーの方が勝った。



あたしは…どうしようもない人間だ…と、はげしく自分を罵ったーーーー。





ーーーさっきの武内の言葉が不意に思い出された。


受診予定日に病院を訪れて来なかったと言うのはホントだろうか。


それが事実だったとして、今はどうしてるんだろう。




「おばあちゃんは?」

と…聞きたいけれど、聞けない。

カーキ色のコートを着ている人は、心配そうにあたしのことを見てるようだったから。


ピンポン…とインターホンに似た音が鳴り響き、住まいのある25階が示された。
ドアを開けるボタンを押し、久城さんがあたしに声をかける。


「…どうぞ、出て下さい」


レディーファーストが様になってる。
セレブな人は、こんなところまで行き届いてるんだ…。


軽く会釈をして側を通り抜けた。

過ぎ去った後に香るのは、久城さんがいつも付けてるオーデコロン。
ミントに似た爽やかさを感じて、ビロード生地の敷かれた廊下へと歩み出た。