『ゆる彼』とワケあり結婚、始まりました。

あたしは久城さんの奥さんでも何でもなかった。
婚姻届を書いて、気持ちの上だけは彼のものになったつもりでいたけど。


彼の側にいれば、守ってもらえそうな気がしてた。
あのキスは、「心配しなくてもいい…」という意味のようにも思えた。


(でも……今はもう、無縁な人……)






「…図星だな」


可笑しそうに武内が笑う。
その嫌味な高笑いを聞いて、あたしの感情は揺れ動いた。


「貴方には関係ないでしょっ!あたしが誰と結婚しようが別れようが、金輪際、付き纏わないと書き記したんだからっ!!」」


近寄ろうとしてきた彼を突き飛ばした。

反射的に仰け反り、側にあったホワイトボードの角で額を切った。


血飛沫が白いボード面に飛び散る。
それを気にする間もなく、あたしは休憩室を飛び出したーーー。