「ちょっとミスやらかしてね。…飛ばされたんだよ。此処に…」


ふ…と苦笑いを浮かべて近づいて来る。

パソコン画面を上書き保存して、あたしは近寄る彼から離れた。



「寄らないで!二度と寄って来ないって念書に書いたでしょ!」


今でも大切な証拠として握ってるんだから。
あの日の屈辱を忘れないように、ずっと保管してるんだから。


「念書?…ああ、そう言えばそんなの書いたな…」


ククッ…と苦笑する。

病院で再開した時と同じ不敵な笑いを浮かべて、武内はあたしにこう言った。



「あのブタ野郎との結婚生活はその後どうよ⁉︎ あいつ、あれから一度も婆さん連れて病院へ来ないぞ。薬は二週間分しか出してなかったのに、忘れてるんじゃないのか⁉︎ 」


「えっ!うそっ!」


聞いて驚いた。
武内はあたしの驚きに何かを確信したみたいで、ニヤリと顔を歪ませた。


「嘘なんか言ったってつまらないだろう?先週末、来る予定になってた日に診てないんだからな、俺は」


「み、診てない…って、再診は主治医のドクターに予約した筈じゃ……」


おばあちゃんの信頼する老先生に診てもらいたい…と頼んだ。
内科の看護師長を務めるナースは、「かしこまりました」と返事をしてた筈だけど…。


「婆さんの主治医の名前を聞いてなかったのか?俺と同じ武内ってんだよ。…つまり、俺の爺さんに当たる人ってワケ!」