「可愛い…」


つい、ポロリ…と本音が出た。

切れ長で細め?
一応二重のようだけど、瞼に付いてるお肉のせいで、筋がハッキリしていない。


だから、一見したら「やめとこう…」と言いたくなる人だけど……



「……結構、好みかも……」



呟いた言葉は間に受けられた。

母は飛び上がって…


「本当っ⁉︎ じゃあ会ってみてもいい⁉︎ 」


…と、ウキウキしながら聞いた。


「…イイけど…私なんかでいいの⁉︎ 相手の人の返事は?聞かないの?」


お見合いって双方の合意の上だよね…と話すと、「もう相手の方からの了承は頂いてるから大丈夫!」と、悪戯っぽく笑って言った。


「…えっ⁉︎ どういうこと⁉︎ あたしの写真、いつ渡したの⁉︎ 」


お見合い写真なんか撮ってなかったよね……と思いを巡らす。

母は、またしても笑って。


「あるじゃないの!は・た・ち・の・が!」


ーーーと、囁いた。




「えっ⁉︎ 20歳⁉︎ もしかして、ソレって……成人式で撮ったやつ⁉︎ 」


頭に浮かんだのは、桜色した振袖。
おばあちゃんが着物屋さんで買い付けてきた一点モノで、確か結構なお値段だったはず。

一度だけ袖を通して写真を撮って、成人式で着た後、レンタル用として売りに出した。
その方が安上がりだから…と、着物屋さんに言われた…と話していた。