タヌキの娘は仔犬だったか、と、苦笑しつつ、思わず龍星はその仔犬、いや、姫の艶やかな黒髪を撫でた。
「左大臣家の姫を手にかけようとする輩はいませんよ。そんなに警戒することはありません」
「だって」
と、毬は唇を尖らせる。
「最近、毎晩聞こえるの。誰かの呪いの声が。
辛い、苦しい、殺してやるって。
だから、都随一の呪術師様が来られるというから。
もう、殺されると思って……」
緊張から解放されたのか。気丈にしていた瞳から大粒の涙が零れる。
龍星は突然現れ、泣き出した姫に成すすべもなくそのまま子供をあやすように頭を抱き寄せた。
「明日から貴方の元に笛の講師がつきます。彼は私の親友ですから、何かあれば彼に伝えて下さい。私もここに駆け付けます」
柔らかい声で噛んで含めるように伝える。
実際、龍星は女性も子供も苦手だが、流石に呪術師として、呪い殺されると怯える姫に冷たくすることは出来なかった。
パチリと龍星が手を叩くと、どこからともなく夜闇から半紙と筆が現れた。
「左大臣家の姫を手にかけようとする輩はいませんよ。そんなに警戒することはありません」
「だって」
と、毬は唇を尖らせる。
「最近、毎晩聞こえるの。誰かの呪いの声が。
辛い、苦しい、殺してやるって。
だから、都随一の呪術師様が来られるというから。
もう、殺されると思って……」
緊張から解放されたのか。気丈にしていた瞳から大粒の涙が零れる。
龍星は突然現れ、泣き出した姫に成すすべもなくそのまま子供をあやすように頭を抱き寄せた。
「明日から貴方の元に笛の講師がつきます。彼は私の親友ですから、何かあれば彼に伝えて下さい。私もここに駆け付けます」
柔らかい声で噛んで含めるように伝える。
実際、龍星は女性も子供も苦手だが、流石に呪術師として、呪い殺されると怯える姫に冷たくすることは出来なかった。
パチリと龍星が手を叩くと、どこからともなく夜闇から半紙と筆が現れた。


