ふうわり漂う甘い香り。
優しく抱きしめられたような温かい心地よさ。
ゆりかごに揺られるような感覚に、ついうとうとしてしまう。
そうやって、何度も何度も眠りの世界へ引きずり込まれていた毬は、ようやく瞳を開けた。
柔らかい明かり。
甘い香り。
見たこともない光景に、思わず身体を起こす。
「お目覚めだわ。龍星様をお呼びしないと」
光が淡い声を放つ。
これは、夢の続きかしら?
毬はゆっくりとあたりを伺った。
「ゆっくり休まれましたか?」
龍星がやってきて、何故だかどきりとする。
整った顔は、どこか冷たさを感じさせるが、その紅い唇が優しく微笑むとそういう冷たさを全て取り除いてくれる。
「ここ、どこ?」
「すみません。勝手に私の家にお連れしてしまいました。
あんなに怖い思いをしたところで、お休みさせるのが気の毒で」
「怖い……思い?」
自然に手を伸ばし、毬の右手を掴む。
とりたてて、彼女は不自然に怯えたりはしなかった。
「もう、痛くないですか?」
確かに、右手には布が巻きつけてあった。
何かを思い出そうとすると、ずきん、と、頭の奥が酷く痛んだ。
優しく抱きしめられたような温かい心地よさ。
ゆりかごに揺られるような感覚に、ついうとうとしてしまう。
そうやって、何度も何度も眠りの世界へ引きずり込まれていた毬は、ようやく瞳を開けた。
柔らかい明かり。
甘い香り。
見たこともない光景に、思わず身体を起こす。
「お目覚めだわ。龍星様をお呼びしないと」
光が淡い声を放つ。
これは、夢の続きかしら?
毬はゆっくりとあたりを伺った。
「ゆっくり休まれましたか?」
龍星がやってきて、何故だかどきりとする。
整った顔は、どこか冷たさを感じさせるが、その紅い唇が優しく微笑むとそういう冷たさを全て取り除いてくれる。
「ここ、どこ?」
「すみません。勝手に私の家にお連れしてしまいました。
あんなに怖い思いをしたところで、お休みさせるのが気の毒で」
「怖い……思い?」
自然に手を伸ばし、毬の右手を掴む。
とりたてて、彼女は不自然に怯えたりはしなかった。
「もう、痛くないですか?」
確かに、右手には布が巻きつけてあった。
何かを思い出そうとすると、ずきん、と、頭の奥が酷く痛んだ。


