「龍星、邪魔をするでないっ」
千の鋭い声が飛ぶ。
苛々が募った、コントロール不可能な、声。
「出世に響くぞ」
帝の后ならではの、重みのある言葉。
しかし、龍星は顔色一つ変えない。
「構いません。
こんな狭い世界で上り詰めたからといって何になりましょう」
「龍……」
「そんなことより、お見せしたいものがあります。
どうぞ、こちらへ」
と、部屋の真ん中の畳をはぐって見せた。
「ひぃぃいいい」
千は息を飲む。
そこには白骨化した大柄な躯(むくろ)が一つ。
龍星は感情を感じさせない冷たい声で告げる。
「あなたと戯れていたのはこちらの躯(むくろ)です。
それでよろしければ、もう一度復活させましょう」
「ひぃいいいい、いぁあああああっ」
千は腰を抜かしたようで、その場に座り込んでしまった。
「お気がすみましたか」
しばらく間をおいて、龍星がゆっくりと千に手を差し伸べた。
雅之の笛の音が、優しく部屋の空気を染め上げていく。
「私……、わたくし……」
「鬼に取り付かれていたのですよ。
桜の下に埋めた、あの鬼。
あれこそが、この男の恋人。
昔々の恋物語に、取り付かれてしまったのです。
さぁ、何もかもお忘れになって帝とお花見にでも行ってこられるが良いでしょう。
この鬼の始末は私にお任せ下さい」
龍星は丁寧に頭を下げ、千に帰るよう促した。
千の鋭い声が飛ぶ。
苛々が募った、コントロール不可能な、声。
「出世に響くぞ」
帝の后ならではの、重みのある言葉。
しかし、龍星は顔色一つ変えない。
「構いません。
こんな狭い世界で上り詰めたからといって何になりましょう」
「龍……」
「そんなことより、お見せしたいものがあります。
どうぞ、こちらへ」
と、部屋の真ん中の畳をはぐって見せた。
「ひぃぃいいい」
千は息を飲む。
そこには白骨化した大柄な躯(むくろ)が一つ。
龍星は感情を感じさせない冷たい声で告げる。
「あなたと戯れていたのはこちらの躯(むくろ)です。
それでよろしければ、もう一度復活させましょう」
「ひぃいいいい、いぁあああああっ」
千は腰を抜かしたようで、その場に座り込んでしまった。
「お気がすみましたか」
しばらく間をおいて、龍星がゆっくりと千に手を差し伸べた。
雅之の笛の音が、優しく部屋の空気を染め上げていく。
「私……、わたくし……」
「鬼に取り付かれていたのですよ。
桜の下に埋めた、あの鬼。
あれこそが、この男の恋人。
昔々の恋物語に、取り付かれてしまったのです。
さぁ、何もかもお忘れになって帝とお花見にでも行ってこられるが良いでしょう。
この鬼の始末は私にお任せ下さい」
龍星は丁寧に頭を下げ、千に帰るよう促した。


