雅之がゆっくりと振り返った。
相変わらずの精悍な顔に、柔らかい笑みを携えている。
「先日は、こちらこそ失礼しました。
笛を溺愛していましてね。
ついかぁっと……」
言いつつ、毬の頬へと無骨な手を伸ばす。
「怖い思いをさせて、すまなかった」
壊れ物を扱うかのように、そおっと雅之の手が毬の頬を撫でた。
黒い瞳が、心の奥を見透かすかのように真直ぐに毬を見ていた。
後悔を含んだ切ない眼差しと、
優しさを湛えた甘い微笑み。
「心配していたのですよ。
痛みのあまり眠れなかったんじゃないかって」
「そ、そんなにやわじゃないので、だだだだ大丈夫……」
どうにも力が入らない。
とくん、と。
心臓が甘い痛みを持って跳ねた。
雅之は頬に当てた手を彼女の輪郭に合わせ動かし、ゆるやかに顎を持ち上げた。
慣れた手つきに、そのペースに、毬は飲み込まれていく。
「そんなに強がらないで。
ね?」
ゆっくりと、雅之の端正な顔が毬のほうへと近づいてくる。
相変わらずの精悍な顔に、柔らかい笑みを携えている。
「先日は、こちらこそ失礼しました。
笛を溺愛していましてね。
ついかぁっと……」
言いつつ、毬の頬へと無骨な手を伸ばす。
「怖い思いをさせて、すまなかった」
壊れ物を扱うかのように、そおっと雅之の手が毬の頬を撫でた。
黒い瞳が、心の奥を見透かすかのように真直ぐに毬を見ていた。
後悔を含んだ切ない眼差しと、
優しさを湛えた甘い微笑み。
「心配していたのですよ。
痛みのあまり眠れなかったんじゃないかって」
「そ、そんなにやわじゃないので、だだだだ大丈夫……」
どうにも力が入らない。
とくん、と。
心臓が甘い痛みを持って跳ねた。
雅之は頬に当てた手を彼女の輪郭に合わせ動かし、ゆるやかに顎を持ち上げた。
慣れた手つきに、そのペースに、毬は飲み込まれていく。
「そんなに強がらないで。
ね?」
ゆっくりと、雅之の端正な顔が毬のほうへと近づいてくる。


