するりと毬は樹から降りて、とん、と廊下に着いた。
「毬と申します。
あの、先生、まだ怒ってますか?」
「姫の部屋で待っているから直接聞くと良いですよ」
毬は無意識に手を頬に当てていた。
「もう打たないかしら」
初対面でない気安さからか、子どもじみた表情で龍星を見る。
「さあ?私には判りかねます」
あくまでも初対面を装う龍星に業を煮やして歩きだす毬。
その時。
ふうわりと、龍星の細く長い指が毬の頭に伸びた。
「桜の花びら、乗ってます」
「ありがとうございます」
よっぽど恥ずかしかったのか、毬は花びらを受け取ると足早に部屋へと歩いていった。
龍星は一人、庭を見つめる。
……あの桜……
「毬と申します。
あの、先生、まだ怒ってますか?」
「姫の部屋で待っているから直接聞くと良いですよ」
毬は無意識に手を頬に当てていた。
「もう打たないかしら」
初対面でない気安さからか、子どもじみた表情で龍星を見る。
「さあ?私には判りかねます」
あくまでも初対面を装う龍星に業を煮やして歩きだす毬。
その時。
ふうわりと、龍星の細く長い指が毬の頭に伸びた。
「桜の花びら、乗ってます」
「ありがとうございます」
よっぽど恥ずかしかったのか、毬は花びらを受け取ると足早に部屋へと歩いていった。
龍星は一人、庭を見つめる。
……あの桜……


