「姫、ちょっと待って下さいね」
抱き寄せていた手を離すと、さらさらと慣れた手つきでなにごとかしたため、紅い唇に指をあて、耳慣れない言葉を呟いてから、気を紙に送った。
一瞬。
闇に青白い光が走る。
「これを枕元に置いて眠ると良い。貴方を護って差し上げます」
仔犬、もとい姫はそれを受け取り、目を丸くした。
「でも……」
何かを躊躇う眼差し。
「大丈夫。今夜はゆっくりおやすみなさい」
「でも。
毬のせいで呪術師様が眠れなくなったり、しない?」
真っ直ぐな毬の瞳が、龍星の胸に突き刺さる。
お札をいろんな人にあげてきた龍星だったが、喜ばれこそすれ、身の心配をされたことなど一度もなかった。皆、呪術師は不死身くらいに思っているのだ。
だから、こうも真っ直ぐに心配されると面食らう。
龍星は毬の瞳を覗きこんで、優しく言った。
「私もきちんと眠りますから、姫もゆっくり眠りなさい」
それは暗示だったのか。
毬姫は龍星の胸に崩れ落ちるかのように、一瞬にして眠りに落ちていった。
抱き寄せていた手を離すと、さらさらと慣れた手つきでなにごとかしたため、紅い唇に指をあて、耳慣れない言葉を呟いてから、気を紙に送った。
一瞬。
闇に青白い光が走る。
「これを枕元に置いて眠ると良い。貴方を護って差し上げます」
仔犬、もとい姫はそれを受け取り、目を丸くした。
「でも……」
何かを躊躇う眼差し。
「大丈夫。今夜はゆっくりおやすみなさい」
「でも。
毬のせいで呪術師様が眠れなくなったり、しない?」
真っ直ぐな毬の瞳が、龍星の胸に突き刺さる。
お札をいろんな人にあげてきた龍星だったが、喜ばれこそすれ、身の心配をされたことなど一度もなかった。皆、呪術師は不死身くらいに思っているのだ。
だから、こうも真っ直ぐに心配されると面食らう。
龍星は毬の瞳を覗きこんで、優しく言った。
「私もきちんと眠りますから、姫もゆっくり眠りなさい」
それは暗示だったのか。
毬姫は龍星の胸に崩れ落ちるかのように、一瞬にして眠りに落ちていった。


