こんなに笑ってる玲はかなりレアだ。


でも何で笑われてるのかさっぱり分からん。



「あはは、ごめん。 なんか珍しくて」

「珍しい? 何が?」

「葵みたいな子は周りにいないから。 基本家柄あっての俺だからね」

「そんな事ないと思うけど…」

「そんな事あるよ」



家柄だけじゃなくて、玲の容姿も十分関係してるでしょ。


家柄よし、見た目よし、性格は…まだよく分かんないけど、こんなに揃ってる人っているんだな。



「一応言っておくけど、家を継ぐのは俺じゃなくて兄だから」

「え? そうなの?」

「残念?」



いたずらっ子みたいな顔をする玲。



「私が残念がる理由ないし…お兄さんがいるって事にビックリしただけ」

「あはは、やっぱ葵はいいね」



今日はいっぱい玲の笑った顔を見る。


2人で出かけるなんてどうなる事かと思ったけど、来て良かった。


その日映画を観終わって私たちは解散した。


送ると言ってくれた玲の言葉に内心焦りながら、寄るとこあるからとどうにかこうにか断った。