お嬢様はじめました。

旅館に着いて絶句した。


昔ながらの日本の旅館っていう雰囲気にプラスして、中は高級感漂うインテリア。


そしてなんと言ってもたかが高校生2人に対して仰々しいお出迎え。


偉い感じの人は深々とお辞儀をすると笑顔を浮かべた。


それに比べて玲は涼しげな顔をしてる。


車の中の玲とは別人だ。


お部屋に案内しながら色々と話してくれるが、玲は興味がなさそうな顔をしてる。


いたたまれなくなった私が代わりに「そうなんですね」とか「へー」とか返事をしていた。


部屋に入って玲と2人きりになった途端ドッと疲れた。



「今のはダメでしょ」

「何が?」



振り返った玲は笑顔だった。



「その顔! なんで出来ないの!?」

「どういう意味?」

「さっき凄い丁寧に説明してくれてたのに無反応だったじゃん! 失礼でしょ!」



玲は首を傾げた。


なんで?


私まで首を傾げてしまう。



「どうでもいい相手にわざわざ笑う必要ないだろ」



グイッと近づいて玲を見上げた。



「どうでもいい相手かもしれないし、仕事だからかもしれないけど、お客さんだって必要最低限の礼儀があるでしょ!? 笑顔向けたくないにしても、最後くらい『ありがとうございます』って言ったってバチは当たらないと思うんだけど?」