電話を切って1時間。


本当に1時間ぴったりの時間に海堂はやってきた。


スーツ姿で。


偉そうな態度が高級なスーツに良く似合う。



「コーヒーでいい?」

「何でもいい」



メッチャ機嫌悪い。


荒木さんが飲み物を持って来てくれる間会話は一切なかった。


機嫌が悪いせいもあるだろうけど、ずっとスマホをいじってるから。



「忙しいんだったら電話で全然良かったんだけど……」

「は? 仕事中にボロ出す訳にはいかねーだろ」



いい加減ムカついてきた。



「何にイライラしてるか分かんないけどさ! 何で私が当たられなきゃなんないの!? もういい! 海堂に助けてもらおうと思った私が馬鹿だった! どうぞ仕事に戻って下さい!!」



自然と息が荒くなる。


手も震える。


海堂は珍しく驚いた顔をしてる。


ため息を吐かれた。


何のため息!?



「……悪い」



え!?


今海堂が『悪い』って言った!?



「ちょっと仕事の事でイラついてた」

「あ、いや、うん……私の方こそ大きな声出してごめん……」



なんか気まずくてアイスティーを飲んだ。


海堂も同じタイミングでコーヒーを飲んだ。