お嬢様はじめました。

やっと玲と話せたと思ったら、スタッフさんに呼ばれてしまった。


「もう少しで終わるから」と言った玲は私の頭をポンと撫でると何処かへ行ってしまった。



「驚きました」

「へ?」



そう呟いた松本さんの視線の先には玲の姿。


松本さんの顔を見ると、いつの間にかその視線は私に向けられていて驚いた。


な、何!?



「近頃のレイは雰囲気が柔らかくなりました。 周りのスタッフの方とも必要最低限しか言葉を交わさなかったのに、他愛もない話をする様にまでなりました」

「そうなんですか?」



私は元々の玲を知らない。


それに自分以外の人といる時の事も知らない。



「貴女の存在がレイを変えたんでしょう」

「私がですか!? それは違うと思いますけど……」



むしろ変えられたのは私の方な気がする。


今の私は完璧恋する乙女だ。


おばあちゃんとお母さんがいてくれたら……って思わずにはいられない。



「撮影に誰かを呼ぶなんて事も初めてです。 それに、あんな子供みたいな一面を初めて見ました」



松本さんの頬がほんの少し緩んだ。


玲の事、大事に思ってるんだな。