上手く話が噛み合わない。


そう思ってるのは私だけじゃないようで、松本さんの眉間にもうっすらとシワがよっている。



「あの、レイからは何と伺ってますか?」

「待ち合わせ時間と場所しか聞いてないんですけど……」



「はぁ……」と松本さんの大きなため息が漏れた。


私はおもわず苦笑い。



「レイからは撮影に葵さんを呼んでいるので、こちらにお迎えに上がるようにと言われたのですが、葵さんは何も伺ってないんですね」

「え!? 玲の撮影に!? いや、あの、はい……何も聞いてないです……すみません」



何がすみませんなのかよく分かんないけど、つい口から零れた。



「取り敢えず言われた通りご案内します。 早くしないとレイ自身がこちらに来てしまいそうなので」



確かに。


玲の事だから「遅い」とか言って自分から来ちゃいそう。


玲はマイペースで基本何考えてるのか分かんない人だから、マネージャーさんって大変そう。


私は松本さんの隣に並んで歩いた。


真面目そうな人。


途中チラッと松本さんに鋭い目で見られ、何だか気まずくなった。


私、松本さんから良く思われてない?


第一印象悪かったかな?


……早く玲に会いたい。