食事を進めるが、やっぱり視線は感じる。


ため息が漏れた。



「ねぇ、食べ辛いんだけど……」

「謎が深まるなと思って」

「なぞ?」



首を傾げると玲は少し笑った。


綺麗な顔が少し緩んだその顔は、落ち着かない気分にさせる。



「日本に一点しかないワンピース」

「へ?」

「葵が着てるやつ」

「えっ!?」



これ一点もの!?


嘘でしょ!?


いったいいくらすんの!?


返品っ__は流石にもう無理だよね……。


恐るべしお祖父ちゃん。



「そんな子がどうして一般科にいるのか……とか、考えたりした」



_ギクッ。


ヤバイ。


なんか嫌な汗かいてきた。



「用意してくれたのはお祖父ちゃんだけど、知り合いのお孫さんから借りてくれたって言ってたかな〜」



咄嗟に出た言葉で誤魔化せたかは分からないけど、念押す様に笑って見せた。


これ以上家の話になったらボロが出そうだったから、違う話題を振った。


玲は納得したのかしてないのか分からないけど、違う話題にのってくれた。


焦りのせいかいつもよりも口が動く。


それからの会話はいつもの如く私が一方的に話して、玲がそれに対して答えてくれていた。


食事を終えて車までの短い道のりはずっと手を握られていた。


その感触とすぐ隣で穏やかな顔をしている玲を見ていると、夢なのか現実なのか分からなくなりそうだった。