お嬢様はじめました。

「ははっ」



失敗しないように真剣に踊ってたら、頭上から玲の笑い声が聞こえた。



「今笑った?」

「笑った」

「何で!?」



もしかしてステップとか間違ってる!?



「踊れてるからビックリして」

「ちゃんと踊れてる!?」

「ぎこちないけどね」

「良かったぁ〜」



荒木さんとの練習が無駄にならずに済んだ。


今度お礼しなきゃ。


取り敢えず踊れてるのは玲のお陰だとも思うけど。



「ありがとう」

「何でお礼?」

「玲がリードしてくれてるお礼だから。 それと初めての相手になってくれてありがとう」

「なんかその言い方意味深だよね」

「え!? どこが!!」

「あははっ、やっぱいいね」



うっ__玲の笑顔が眩しすぎる。


つい目をそらすと、何だか視線を感じた。


女の子達……。


嫌な視線。



「葵」

「…………」



睨まれてる……?



「葵!」

「ぅえ!?」



ぎゃっ!


名前を呼ばれたと思ったら目の前に玲の顔があった。



「あははっ、何その声」

「大きな声でいきなり呼ぶからじゃん! てか近いよ、顔!」

「余所見してる葵が悪い」

「何それ! わけわかんない!」



びっくりするじゃん。


心臓バクバクいってる。



「俺だけみてて」

「え?」

「くだらない人たちに気圧される必要はない。 葵は葵らしくいればいい」



口元は笑ってるのに目は笑ってない。


冷たい目。



「分かった?」

「…………」



そんな事言われたってよくわかんないよ。



「そんな顔しないで」



なんて答えていいか分かんなくて、笑うしかできなかった。